日本人が大切にしてきた「やまとごころ」✨本居宣長と古事記に学ぶ「感じる心」

「日本人は礼儀正しい」

海外で暮らしていた頃、そんな言葉を何度も耳にしました。

  • きちんと列に並ぶ
  • 次に使う人のために、使った場所を整える
  • 落とし物が持ち主のもとへ返ってくる

    日本で暮らしていると当たり前に思えることが、海外では驚きと賞賛の対象になることがあります。

    以前、日本人の礼儀や美しいふるまいについて記事を書きました。

    まだ読んでいない方は、ぜひこちらもご覧ください。

    あの記事を書いたあと、私の中にひとつの疑問が残りました。

    なぜ日本人は、ここまで相手を思いやる文化を育んできたのだろう。

    マナーや教育だけでは説明できない何かがある。

    もっと昔から受け継がれてきた、日本人らしい感覚のようなものがあるのではないか。

    その答えを探しているときに出会ったのが、江戸時代の国学者・本居宣長と「古事記」した。

    この記事では、本居宣長が『古事記』から見出した「やまとごころ」や「感じる心」をたどりながら、日本人が大切にしてきた精神性について考えてみたいと思います。

    目次

    本居宣長が探した「日本人本来の姿」

    本居宣長(もとおり のりなが)は、江戸時代を代表する国学者であると同時に、地域の人々を診療した医師でもありました。

    人々の暮らしに寄り添いながら、生涯をかけて日本の古典を研究し続けた人物です。

    34歳のとき、宣長は「松阪の一夜」と呼ばれる運命的な出会いを果たします。

    旅の途中で松阪に滞在していた国学者・賀茂真淵を訪ねた一夜が、その後の人生を大きく変えました。

    翌年の明和元年(1764年)、宣長は『古事記』の研究に着手します。

    そして35年もの歳月をかけて、全44巻に及ぶ『古事記伝』を書き上げました。

    完成したのは69歳のとき。

    まさに人生をかけた大仕事でした。

    当時の学問は、中国から伝わった儒教や仏教の思想が中心でした。

    しかし宣長は、そこに違和感を覚えます。

    「日本の古典を、外から入ってきた価値観だけで解釈してよいのだろうか」

    宣長は、中国的な先入観を「漢意(からごころ)」と呼び、それを問い直しました。

    そして、古代の日本人がどのように世界を見つめ、何を感じながら生きていたのかを知ろうとしたのです。

    それは知識を増やすための研究というより、日本人の心の原点を探す旅だったのかもしれません。

    「正しさ」の前に、まず心が動く

    現代社会では、何かと「正しさ」が求められます。

    正しい意見。
    正しい知識。
    正しい選択。

    SNSを開けば、何が正しいのかをめぐる議論が絶えません。

    もちろん、正しさは大切です。

    けれど宣長は、人間をもっと自然な存在として見ていました。

    人はまず心が動き、その後に理由を考える。

    嬉しい。
    悲しい。
    愛おしい。
    寂しい。

    そう感じたことが、理屈を追い越して先にやってくる。

    宣長は、この自然な心の動きこそが人間らしさの本質だと考えました。

    だから古事記を読むときも、

    「この物語は本当にあったのか」

    ではなく、

    「この物語を通して、人々は何を感じていたのか」

    を大切にしたのです。

    宣長にとって、知識は心を理解するための手段であり、心こそが知識の目的でした。

    本居宣長が語った「もののあはれ」

    宣長の思想を語るうえで欠かせない言葉があります。

    それが「もののあはれ」です。

    少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに、

    • 四季の移ろいに心が動くこと
    • 春に咲いた桜が散っていくこと
    • 夕焼けが少しずつ夜に変わっていくこと
    • 楽しい時間が終わってしまうこと

    私たちは、それが永遠ではないと知っているからこそ、美しいと感じます。

    効率や成果だけでは測れない豊かさ。

    宣長は、日本人の中にあるそんな感性を何より大切にしていました。

    そして 『源氏物語』の研究を通じて、この「もののあはれ」を日本人固有の美意識として体系的に示したことも、宣長の大きな功績のひとつです。

    「やまとごころ」は、日本人の礼儀の源流にある

    「どうして日本人はそんなに礼儀正しいの?」

    海外で暮らしていた頃、そう尋ねられたことが何度もありました。

    考えてみると、日本人の礼儀は単なるルールではありません。

    相手に気持ちよく過ごしてほしい。

    周りと調和したい。

    少しでも誰かの役に立ちたい。

    そんな思いから自然に生まれている行動が多いように感じます。

    この感覚は、宣長が『古事記』の中に見た「やまとごころ」と重なります。

    やまとごころとは、難しい思想や理屈ではなく、人の喜びや悲しみに心を動かし、自然や周りの人とのつながりを大切にする感性のこと。宣長はそこに、日本人本来の姿を見ていました。

    『古事記』には、神々が喜び、怒り、悲しみ、悩みながら関わり合う姿が描かれています。

    宣長はそこに、人間らしい感情を大切にする日本人本来の心を見出しました。

    相手の気持ちをまず感じようとすること。

    その姿勢が、相手を思いやる文化の背景にあるのではないでしょうか。

    前回の記事で紹介した日本人の礼儀や美しいふるまいも、単なるマナーではなく、この「やまとごころ」の表れなのかもしれません。

    もちろん、日本人全員がそうだと言うつもりはありません。

    それでも私たちの文化には、

    「自分だけ」ではなく「みんなで」

    という感覚が、深いところに流れ続けているように感じます。

    見えないものを感じる──「惟神の道」

    宣長はまた、「惟神の道(かんながらのみち)」という言葉で、日本人本来の生き方を表しました。

    草木の一本にも神が宿り、太陽や雨、山や川にも命がある。

    少なくとも『古事記』からは、そのような世界観が伝わってきます。

    日本には、

    「お天道様が見ている」

    という言葉があります。

    誰かに監視されているから正しくするのではなく、自然の中にある大きな存在を感じながら、恥ずかしくない生き方をしようとする感覚です。

    この「目に見えないものとのつながり」を私自身が強く意識するようになったのは、父を亡くしてからのことでした。

    大切な人を失うという経験は、当たり前だと思っていた世界を大きく変えました。

    父が亡くなった直後、私は特別にスピリチュアルなことを信じようとしていたわけではありません。

    それでも、父の存在を感じさせるような出来事があったり、見守られているような感覚になることがありました。

    偶然と片づけることもできるでしょう。

    けれど私にとっては、

    「目に見えるものだけがすべてではない」

    と静かに確信するきっかけになりました。

    宣長が『古事記』の中に見出した世界も、この感覚とどこか通じています。

    • 自然への畏れ
    • ご先祖様への感謝
    • 一人で生きているのではなく、多くの存在に支えられて生かされているという感覚

    日本人の礼儀や気配りが自然に滲み出るものだとすれば、その源流の一つは、こうした世界観にあるのかもしれません。

    「正しさ」だけでは見つからないもの

    現代はとても便利な時代です。

    知りたいことは検索すればすぐに見つかります。

    AIは瞬時に答えを出してくれます。

    けれど、

    「私はどう生きたいのだろう」

    という問いに答えてくれるのは、知識やデータだけではありません。

    何に心が動くのか。

    どんなときに満たされるのか。

    何を大切にしたいのか。

    その答えは、自分の感性の中にあります。

    情報があふれ、効率や正しさが重視される今だからこそ、宣長が大切にした「感じる心」が必要なのではないでしょうか。

    おわりにやまとごころは、今も私たちの中にある

    満開の桜を見て綺麗だと思うこと。

    誰かの優しさに胸が温かくなること。

    好きな音楽に心が震えること。

    夕焼けを見て、ふと立ち止まること。

    そんな瞬間に、理由も正解も必要ありません。

    正しい答えを探すことは大切です。

    けれど人生には、答えのない問いもたくさんあります。

    そんなとき、本居宣長が大切にした「感じる心」が、私たちを導いてくれるのかもしれません。

    「正しいかどうか」ではなく、
    「私はどう感じるのか」

    その問いの中に、日本人が大切にしてきた「やまとごころ」や、本来の自分らしさへと戻るヒントがあるのかもしれません。

    あなたは、何に心が動きますか?

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    この記事を書いた人

    元外資系CA|ナチュラルフードコーディネーター|菜食薬膳コーディネーター|直傳靈氣療法師|エナジーコントロール®コンシェルジュ|
    忙しい毎日を頑張る女性に向けて「ココロとカラダを整え、私らしく生きる」ライフスタイルを発信中。
    夫婦の離婚危機、コロナ禍、父の死...人生の大きな試練を乗り越える中で、食生活の見直しと心の持ち方を変えることで、私の世界は劇的に変わりました。
    そこで気づいたのは、「自分が変われば世界が変わる」ということ。
    夫婦関係の修復も、自分らしい生き方へのシフトも、すべては「内側から自分を整えること」から始まったのです。
    このブログでは、これまで培った美容・健康の知識と、実体験から学んだ心の在り方をお伝えしています。心と体を整えることは、単なる美容や健康法ではなく、「本来の自分に還る旅」。
    食・暮らし・人間関係を整え、あなたがもっと心地よく、もっと自分らしく生きるヒントがココにあります✨

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